現状と課題
本邦におけるVAD(vascular access device)管理は、まだ世界標準に追いついておらず、発展の途上にあります。その理由の一つは、日本発のVAD関連研究の質と量が不足していることにあります。国際的な知見だけでは、自国のデータによる裏付けがないため、医療従事者の行動を変えるには説得力に欠けるのです。
国内研究の重要性
そこで、本邦のVAD管理を世界標準に近づけるためには、まず日本発の知見を積み重ねることが不可欠です。しかし、現状では、VAD関連の研究は盛んとは言えず、問題意識を持った医療従事者が個々に取り組んでいるのが実情です。世界的にも、個人の研究だけでは医療従事者の行動変容は難しく、同じ問題意識を持つ多くの研究者が議論することで、より良い研究成果が期待できます。
研究プラットフォームと若手研究者の必要性
そのため、VAD関連の研究について議論するプラットフォームの場を作ることが急務であり、将来の発展のためにも若手研究者の育成が必要不可欠なのです。
国際ネットワークの形成
さらに、本邦のVAD管理を世界標準に近づけるには、新たな国際的ネットワークの形成が重要です。このネットワークを通じて、日本のVAD管理に不足している点を明確にし、今後進むべき方向性を見出すことができます。また、本協議会が日本における国際ネットワークの中心となることで、国際共同研究への参画も可能となり、日本のVAD管理のレベル向上にも貢献できるのです。しかし、現状では、日本は世界のネットワークから孤立しており、国内に国際ネットワークのハブとなる組織が存在しません。そのため、国際ネットワークの中心となりうる国内組織の設立が急務なのです。