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【第3回】AVAS Scientific Meeting 2025参加体験記:最新エビデンスが示す血管アクセス管理の新知見

海外学会参加体験記、第3回はメインコングレスをご紹介いたします。

メインコングレスでは、エビデンスに基づいた血管アクセス管理に関する重要な研究発表がありました。多岐にわたるテーマで並行セッションが開催され、「急性期ケア」「病院前・救急医療」「技術革新」「慢性期ケア」「在宅・外来ケア」「集中治療」「小児・新生児」「持続可能性とシミュレーション」「がん治療」「人材育成」「医療システムのガバナンス」「感染対策」など、血管アクセス分野の全領域をカバーするプログラム構成となっていました。

いくつか私が興味を持ったものをピックアップして紹介します。

PICNIC試験の結果

PICNIC試験(PMID: 39778170)では、1,098名を対象とした多施設無作為化比較試験により、新しいPeripherally Inserted Central Catheter (PICC)材料と標準ポリウレタンPICCを比較検討されました。結果として、新材料による優位性は認められず、むしろクロルヘキシジンPICCでは合併症発生率の増加が観察されました。

カテーテル感染に関する大規模観察研究

Alliance for Vascular Access Teaching and Research (AVATAR)が実施したオーストラリア・クイーンズランド州での17年間にわたる約14,000本を対象とした末梢静脈カテーテルの研究では、血流感染症発生率は0.4%と低率を示しました。また、従来想定されていた皮膚常在菌によるものではなく、グラム陰性菌による感染が予想以上に多いことが明らかとなりました。この知見は感染予防戦略の見直しにも影響する重要な発見でした。

末梢静脈カテーテルの定期交換政策

末梢静脈カテーテルの定期交換政策についても議論がありました。従来の72-96時間での定期交換について見直しを提案し、カテーテルは少なくとも5日間程度は安全に留置できるとの知見が示されました。また、「Just Say No, Just in Case」キャンペーンとして、不要なカテーテル挿入を減らす取り組みが紹介され、実際に挿入されたカテーテルの約50%が未使用であるという問題も報告されました。

Midlineカテーテルの用語統一

Midlineカテーテルについては、スペインでの取り組みを紹介したVictoria先生の基調講演が行われ、用語統一の重要な課題が議論されました。施設によって「midline」の定義が異なり、カテーテル先端が鎖骨下中線の位置になるように挿入する場合と腋窩辺りで配置する場合とで使い分けがなされているものの、統一された基準がないことが研究の障壁となっていることが指摘されました。スペインでの実践例を通じて、midlineカテーテルはその有用性が期待されている中で、まだ発展すべき点もあるカテーテルであることを再認識し、国際的な標準化の必要性についても理解を深めることができました。

次回は、我々J-IVCARESメンバーの研究発表がもたらした予想を超える成果とそこから見えた日本の血管アクセス分野の未来への展望をお伝えします。

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