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インドの大都市を巡るPICCツアー体験記インドツアー 第2弾

京都桂病院 副院長・救急科部長
寺坂勇亮

今回は、インドの代表的な病院6施設(病床数400~1500床)を訪問し、PICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル)の導入状況を視察しました。これらの病院では、1日あたり10~15件のPICC挿入が行われており、各施設における実施方法や運用体制について現地調査を実施しました。また、自施設(京都桂病院)のPICC使用の現状、運用方法に関するプレゼンテーションも行いました。

RGCIRC(Rajiv Gandhi Cancer Institute & Research Center)

RGCIRCは、インドの首都であるデリー最大級のがん治療専門の非営利私立病院であり、500床以上を有しています。公的病院ではありませんが、政府や慈善団体からの資金提供により、経済的な制約に左右されることなく集学的な癌治療を提供しています。
看護師の役割も非常に大きく、PICC挿入のための体制が整備されており、看護師自身が超音波ガイド下穿刺を含むPICCの挿入・管理を主に担っています。

MEDANTA Hospital

MEDANTA Hospitalは、デリーの南西に位置し、近年急速に発展した都市であるグルガオンに位置し、心臓外科医Dr. Naresh Trehanによって設立された、インド有数の総合病院です。最先端の医療設備と高度な専門医療を提供しており、Newsweek誌の「世界のベスト病院」にも選出されています。

院内では医療従事者による活発なカンファレンスや教育活動が行われており、国内外から高い評価を受けています。医師数も多く、PICCは放射線科医師や集中治療医が主に挿入しています。

TMC(Tata Memorial Center)

Tata Memorial Center(TMC)は、インド最大の商業都市であるムンバイに位置し、インド最大級の財閥であるタタ財閥が出資し創設された公立病院で、現在は行政によって運営されています。650床を有し、年間5万人以上のがん患者が治療を受けている、インド国内で最もがん治療に強い病院の一つです。公的病院であるため患者数が非常に多く、施設の美観や設備面では限界があります。

看護師の役割は大きいものの、エコーを用いた穿刺は行われておらず、PICC挿入の環境は十分に整備されているとは言えません。

RIMC Chennai(Dr.Rela Institute & Medical Center)

https://www.relainstitute.com/international-patients/

チェンナイは、南インド最大の都市で、伝統的な文化と現代的な産業が融合しています。ここにあるRELA Institute & Medical Centerは、重症診療および臓器移植に特化した営利的私立病院であり、インドで最も多く移植手術を行っている病院の一つです。450床を有し、肝移植外科医Dr. Mohamed Relaによって2018年に創設されました。

国外からも多くの患者が移植医療を受けるために来院しており、PICCは主に医師がエコーガイド下で挿入しています。

CMC Kannigapuram(Christian Medical College Vellore, Ranipet Campus)

CMC Kannigapuramは、チェンナイ近郊の都市で、工業地帯として発展しているラニペットに位置し、営利的・非営利的私立病院であり、外傷を含む幅広い分野に対応する総合病院です。

1500床を有し、看護師の専門性が高く、医師の理解も十分に得られています。PICC挿入の環境は最も整備されており、看護師も超音波ガイド下で穿刺が可能です。主に看護師がPICCの挿入・管理を担っています

TMC(Tata Medical Center)

Tata Medical Centerは、東インド最大の都市であるコルカタに位置し、2011年に設立された営利的・非営利的私立病院で、431床を有し、東インドで最もがん治療に強い施設とされています。公立病院ではありませんが、TATA財閥や慈善団体からの資金提供により、経済的な制約なく集学的ながん治療を提供しています。

看護師の役割は大きいものの、エコーを使わずに盲目的に穿刺しており、PICC挿入の環境が十分に整備されているとは言い難い状況です。

PICCを誰がどこで入れるのか

重症患者はICUで集中治療医がPICCを挿入し、一般患者は病院によって放射線科医師または看護師が担当します。放射線科医師は血管造影室で、看護師はPICCルームを設けてベッドサイドでは挿入しないケースが多いです。私立病院では放射線科医師による挿入が主流で、成果報酬型のため挿入件数に応じて給与が上がります。

看護師が主にPICCを挿入している病院では、看護師がPICC挿入だけでなく、事前面談室や挿入後管理室(通院患者の管理含む)を設け、PICCの前後管理まで配慮した体制が整備されていました。患者全体の管理は看護師が得意としています。

次回はインド医師とのパネルディスカッションを予定しています

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