みなさんの施設では、末梢静脈カテーテル(PIVC)ってどのくらいの頻度でトラブルになっていますか?
「さっき入れたのにもう詰まってる」「また腫れてきた」「今日何本目だろう…」なんて経験、現場では日常茶飯事ではないでしょうか。
今回紹介するのは、そのPIVCの感染と不具合の実態を69件の研究・約48万本のデータから明らかにしたメタ解析です。
Peripheral intravenous catheter infection and failure: A systematic review and meta-analysis
Marsh N, et al. International Journal of Nursing Studies 151 (2024) 104673
背景
末梢静脈カテーテル(PIVC)は、看護実践において最も頻繁に使用される侵襲的デバイスであるが、合併症を生じることが多い。本研究では、PIVCに関連する感染症および全原因による不具合の有病率を明らかにすることを目的として、システマティックレビューとメタ解析を実施した。
方法
Cochrane Library、PubMed、CINAHL、EMBASEを対象に、PIVCに関連する感染または不具合を報告した観察研究およびランダム化比較試験(RCT)を検索した。検索は2000年以降に公表された英語論文に限定した。プール推定値はランダム効果モデルを用いて算出し、観察研究については疫学的メタ解析(MOOSE)指針に、RCTについてはCochraneのプロセスに従って解析を行った。
結果
検索により34,725件の文献が抽出され、最終的に観察研究41件・RCT 28件(PIVC計478,586本)が選定された。カテーテル関連血流感染(CABSI)のプール割合は0.028%(95%CI: 0.009–0.081、38研究)、発生率は10万カテーテル日あたり4.40件(95%CI: 3.47–5.58、20研究)であった。局所感染のプール割合は0.150%(95%CI: 0.047–0.479、30研究)、発生率は10万カテーテル日あたり65.1件(95%CI: 49.2–86.2、16研究)であった。治療完了前のPIVC不具合は36.4%(95%CI: 31.7–41.3、53研究)に発生し、全体的な発生率は100カテーテル日あたり4.42件(95%CI: 4.27–4.57、19研究)であった。
考察・結論
PIVCの不具合は世界的に重大な問題であり、3本に1本が治療完了前に機能しなくなっている。感染の発生率は各カテーテル単位では低いものの、年間20億本以上が世界で使用されることを考えると、感染の絶対数とそれに伴う医療負担は依然として大きい。また、本レビューで示されたCABSI発生率(1000カテーテル日あたり0.044件)は、従来の報告(0.5件)を大幅に下回り、新たなベンチマークを示すものである。局所感染については初のメタ解析が行われ、いずれの感染アウトカムも研究間での報告が不十分であることが明らかとなった。PIVCの感染・不具合を低減するためには、挿入・管理に関する教育の強化、適切なデバイス選択による血管温存、バリデート済み臨床判断ツールを用いた早期抜去の推進など、多面的かつシステム全体にわたる組織的な取り組みが不可欠である。




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